★2005年度の活動についてお知らせ致します。

日本住環境医学研究会の第2回定期総会が8月21日(日)、午後1時30分〜午後3時30分に東京都江戸川区「タワーホール船堀407会議室」で開催されました。議案はすべて可決され、本年度の活動方針が決定しましたので、ここでお知らせいたします。




昨年度の各部会活動報告(要旨)
■医学部会
@論文・総説の発表
A学会発表・学術講演会の開催(皮膚科領域と内科・小児科領域)
■建材部会
@シックハウス症候群を未然に防ぐ取り組み
A安心して住めるアパートのリフォーム仕様づくり
■化学部会
@現場調査資格者研修実施
A簡易法ポータブルGCによる現場測定
Bカビ指数、カビセンサーの活用方法目検討



本年度の活動方針(要旨)

●情勢
 シックハウス症候群の社会的・医学的な混迷要因は、シックハウス症候群と化学物質過敏症が混同され同一とされていることである。化学物質過敏症との鑑別なくしては、シックハウス症候群の正しい診断はできない。氾濫する混迷情報によって患者は誤解や心因反応をおこし、情報不足の臨床医を困惑させているのが、医学界での最大の問題点である。

 2003年7月の改正建築基準法(シックハウス対策法)施行により新築住宅のVOCs濃度が低減傾向にあるが、ガイドライン前後のVOCs濃度によるシックハウス症候群、心因性反応、化学物質過敏症と訴える患者が増加することや、それに関連する訴訟が増加すると思われる。医学的には「いかに心因性バイアスを排除するか」が診断の重要なポイントである。
 
 新築住宅のVOCs濃度は低減傾向にあるが、中古住宅、都会、工業地区、道路隣接住宅などのシックハウス・シックハウス症候群の発生に留意する。とくに学校施設、幼稚園、保育園などの幼少児の集団生活をする施設の「潜行するシックハウス・シックハウス症候群(シックスクール)」発生に注目したい。

 シックハウス症候群と化学物質過敏症が浪岡されて、医学的社会的な混迷要因になっているが、「正しいシックハウス・シックハウス症候群」の啓蒙活動、対策活動を医学界、行政、社会に展開したい。

 また、最近問題になっているアスベストによる健康被害は、シックハウス症候群や欧米のシックビルディング症候群の室内空気汚染物質として定義されているが、肺ガンという深刻な症状、20年にもわたる発癌潜伏期のことを考えると、住環境問題に取り組む当会に取っては重要な課題と考え、なんらかの対策を考えなくてはならない。

 医学臨床現場では、医事紛争、医療訴訟の増加が顕著であり、日常的なリスクマネージメントとして認識されている0シックハウス・シックハウス症候群は、もともと被害者・加害者の対立構造があり、訴訟社会を背景にした組織リスクマネージメントが必要である。このような視点に立った、企画・活動などの熟慮した見直しが必要と考える。

●活動方針
@民主的運営と集団的指導体制を実行する
A財源、人的な保証のない企画は実行しない
の二つを柱に基本的運営方針としたい。日本住環境医学研究会と各種組織、団体との連携、共同研究に取り組みたい。

●2005年度活動
(1) 会員増と対策
(2) 第2回住環境医学研究会学術集会(専門領域の参加者拡大)
(3) 住環境医学研究会研究課題
@「全国住宅内真菌相の研究」
A「住宅内真菌汚染部位の真菌相」
B「新築住宅のVOCs」
C その他
(4)シックハウス症候群啓蒙パンフレットの発刊
(5)会員の知識・スキルアップ講習会
(6)測定機器購入
(7)広報活動の推進(ホームページ内容の充実、メールマガジンの発行)
(8)情報共有の推進

本年度の各部会活動報告(要旨)
■2005年度医学部会活動方針
(1)2004年度、住環境医学研究会研究テーマ「全国住宅内真菌相の研究」の継続
(2)「住宅内真菌汚染部位の真菌相」
(3)シックハウス症候群発生調査(医学、建築、測定)
(4)医学・公衆衛生関係者の入会促進
(5)アスベスト問題への取り組み
(6)その他

■2005年度建築部会活動方針
マンションリフォーム対策仕様研究(柘植理事、志水会員)

■2005年度建材部会活動方針
1.VOCの気中濃度と温湿度との相関関係に関する調査研究
1)温湿度変化に伴う気中濃度変化の予測法を導き申すこと
  現在既に知られているホルムアルデヒドに関する井上の式に相当する予測式はVOC系では存在しない。従って夏場の室温の高い状態での安全レベルを冬場の実測結果から評価することができないのが現状である。これを可能ならしめる方法について調査分析する。
2)実施日程
・2005年9月〜2005年12月 文献調査
・2006年1月〜2006年5月  2〜3種のVOCについての調査実験
・2006年6月〜7月  結果のまとめ、報告書の作成

2.流通途上の汚葺如こ関する調査研究
1)建材が輸送途上にて汚染される危険性を明らかにする
あらゆる建材が混載されて施工現場に届けられる可能性の把握と、それによる建材汚染レベルの確認を行う。
2)実施日程
・2005年9月〜2005年12月 建材の輸送実態の調査
・2006年1月〜3月 実験室にて混載状態での汚染度把握
・2006年4月 結果のまとめ、報告書の作成

■2005年度化学部会活動方針
1.簡易法ポータブルGCによる現場測定
2.カビセンサーによる室内カビ環境調査
3.MVOC濃度測定による室内環境とカビの影響調査


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